麻って何だろう ~生活資材としてのアサ~
2025/03/12
今回は、大正時代頃までは生活に当たり前のように存在していた大麻(アサ)について、少しご紹介したいと思います。
はるか古代からご神事に使われていた大麻(アサ)でしたが
日本人の日常生活の中でもとても活躍していたようです。
縄文土器に刻まれている縄模様は、実は大麻(アサ)で作った縄を押し付けてつくられた、という調査結果がありますし、
古代遺跡からは大麻(アサ)の繊維が出土しているそうです。
また、かつて「租庸調」という納税の仕組みがあった時代、その中にある「調」というものは地域ごとの特産物を納める仕組みになっていたようです。
そして、ここ徳島ではその農産物が「大麻(アサ)」だったそうなのです。
【衣】
当時から日本に自生していた大麻は、外国産と違い「繊維型」と言われる種類に分類され、
その名の示す如く、茎の繊維質が非常に長く丈夫であったため、これを材料として農閑期に糸を績み、その糸で布を織り、家族の衣服を作っていました。
大麻(アサ)で織られた布は高い調湿性を持ち、夏は涼しく冬は暖かく、とても軽く丈夫であったようです。
その強靭な繊維からは他にも、魚網、弓弦、下駄の鼻緒、畳の糸にも使われるようになりました。
【食】
麻の実は非常に高い栄養素を含んでいる事がわかり、現代は「ヘンプシード」という名前でスーパーフードの一つとして注目され始めていますが、昔の人はそれを体感的に理解していたのだと思われます。
現代の食で目にする麻と言えば、七味唐辛子の中に入っている麻の実位ですが・・・。
【住】
土壁の土や漆喰には麻の繊維を細かく刻んだ「麻スサ」を混ぜ込むことで強度を増し、調湿消臭性も高め、快適な住環境を作る材料の一つとなっていました。
また、繊維を剥いだ大麻(アサ)の芯のオガラ(麻幹)は、茅葺屋根の下地として欠かせないものでした。
【農産物として】
大麻草は、北極・南極・グリーンランド以外の場所であればどこでも育つことが可能だそうです。痩せた土地でも育ち、農薬も不要ですくすく育つ事、種まきから収穫まで90日~100日程度という短い期間であること、麻を植えた後の土地はとても良いになるとも言われています。
大麻草からとれるオイルも健康効果や産業利用のポテンシャルを持っているそうで、先から根本までどこも捨てるところのない非常に優秀な植物であると言われています。
かつて、大麻草という植物は決して特別なものではなく、人と地球にやさしく有用な植物だったのだという事を知っていただければと思います。
次のブログでは、麻の種類についてお話します。